社会的知能発生研究会ほか

昨日は社会的知能発生研究会(略称ソシオ)に飛び入り参加しました。
2年ほど前、第16回の研究会の折に外部講師としてお話ししたことがきっかけで、今回も仙台で開かれるので、良かったら是非、と大武美保子さんからお声がけ頂いたところ。
大武さんは工学部機械系なのですが、現在すすめているプロジェクトの一つは「会話を活性化させることによる認知症予防・治療法の開発」です。
詳しくは「ほのぼの研究所」をご覧下さい。
21歳の大学生から、その2倍以上の年の大学教員(私のこと)、アニメ等の脚本家、ゲームソフトの開発者など、多彩な顔ぶれ。

途中抜けて、夕食とその後の「賢さセッション」に合流。
ちょうど、友人Kさんと「天才の脳はどのようにして<ひらめき>を生むのか?」という議論をしていたところだったので、その話をぶつけてみました。

K先生の問題提起:過去には重要だと思わなかったことに、天才はあるときどうして、それが大事だ!とひらめくのだろう?

とりあえず、以下のことが行われているとします。
仮説1)脳内では、ストアされている記憶(エピソード記憶でも意味記憶でも)無意識レベルで検索が行われる。
仮説2)検索に用いられる「キーワード」は、実世界の影響を受けて、リアルタイムに変化する。

検索は「キーワード」を元に、ストアされている全テキストを検索しているものとして、まず、天才は「ストアされている記憶ユニットの数は非常に多い」ことと、「検索速度が非常に速い」のではないか、と考えます。
で、過去にはとくに「重要フォルダ」には入れられていなかった記憶でも、状況が変わったときに呼び出せるのではないか、と主張しました。

K先生は「うーん、もう少し、何か違うものがあるような……。例えば、記憶の色のようなものかな?」
現在の検索エンジンでは、「こんな色が含まれていたイメージ画像」は検索できませんが、ひょっとしてそんなことがヒトの脳内ではできるのでは???

ソシオの皆さんに話をしてみると、「ああ、それはありうるかも」ということになりました。
つまり、いかに高速検索といえども、端から端まで検索するのは、めちゃくちゃ効率が悪いから、何か効率を良くする仕組みがあるのでは、ということです。
「それって、何か、記憶の<色>があるのだと思いますか?」
「そうですね、この<記憶>はこの<色>がこのくらいの<濃さ>だというような、<テキスト>や<タグ>ではない情報が含まれているのかも?」
「だとすると、確か<あの色合い>だったような、という検索が、無意識レベルでかかっているのでしょうかね?」
「そうですね。<重要>かどうか、理性的に判断されていないけど、情動的な判断として、何らかの情報に基づいて重みが付けられているのかも」
「なるほど、<赤い記憶>のような気がする、というあたりを、無意識にしろ、意識的にしろ、探すってことかな?」

ちなみに、この会話をしている間に、私と同様に記憶が「画像化」している方は他にもいることを確認しました。
「あのノートの前から3分の1くらいの頁の、左上に緑のボールペンで書かれていたはず」というような思い出し方をするという意味です。
頭の中でそこにズームインしていく感じですね。

本当は、2日目の今日のセッションではシーマン2〜北京原人育成キット〜の開発に関わった方のお話があったのですが、山形まで結婚式に出かける予定だったので残念。
後で報告を楽しみにします。
*****

今回は研究室のテクニシャンの方のご披露宴。
仙山線で1時間ちょっとの山形だったので、自分で着付けて参加しました。
今回もチャペルでの挙式なので、招待客も参加。
神前だとやはり親戚限定なので、最近は皆さん、にわか信者になるのか、単なるセレモニーの様式と捉えられているのか……。
でも、呼ばれる方は共体験を楽しませて頂ける方が楽しいかも。

今回も、新婦側主賓としてのスピーチをしたのですが、食事の途中よりも最初の方が気が楽ですね。
あ、最近はお仲人さんも立てない方が多いのでしょうか。
お二人の生い立ち等については司会(プロのアナウンサーっぽい方)の方からのご紹介で、雛壇にはお二人のみ。
黄色とオレンジの薔薇がとても綺麗なフラワーアレンジメントでした。
例によって新婦のお色直しのドレスの色が話題になっていましたが、何人かの予想通りの淡い黄色で、とても似合っていました!
どうぞお幸せに!!!
by osumi1128 | 2007-12-02 19:27 | サイエンス

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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