脳トレよりも脳カフェ!!!
2007年 12月 16日
トークのお一人目は瀬名秀明さん。
「ミトコンドリアと脳の不思議」というタイトルでしたが、「クリスマスの奇跡と脳科学」というのが裏メッセージ。
欧米では、クリスマスに奇跡が起こる、というモチーフは小説等の定番の一つになっていて、確か、New York Timesでしたか、毎年イブに短編小説が掲載されるのだったと思います。
古くは「クリスマスキャロル」のようなお話や、O・ヘンリーの短編に見られるような、ちょっとびっくりの展開があり、でもほのぼの、ほっとするというのがお決まりですね。
クリスマスと科学というのは、ファラデーの「ロウソクの化学」などの「クリスマス講話」のことで、そういう意味で、ちょうど「光のページェント」が始まった師走の仙台はメディアテークでの「脳カフェ」は、
瀬名さんのトークのキーワードは、表は「ミトコンドリア」ですが、裏は「まなざしのちから」。
素晴らしいことを「発見」することで奇跡は生まれる。
そんなエールを、来場者だけでなく、展示ブース(下記参照)を担当した若手メンバー達にも贈って下さいました。
30分余のお話は、サイエンスZEROのNHKの熊倉アナにナビゲーターをお願いしました。
相づちや茶々を入れながらの進行により、トークが専門的になりすぎたら引き戻す、ということをお願いしていました。
質問時間は長めに取っていましたが、「質問カード&ホワイトボード」形式を採用しました。
質問カードはグローバルCOE関係の大学院生に回収をお願いしました。
このやり方は、8月の百周年記念サイエンスカフェスペシャルのときにもお願いしましたが、熊倉さんがうまく質問カードをさばいてくださって、効率の良いものだったと思います。
次のトークまでの間に、4つのブースに分かれての展示を行いました。
企画運営はグローバルCOEの若手フォーラムで、実際には大学院生やポスドクが主体です。
例えば、「ゲノム神経科学グループ」では、「いろいろな動物の脳を見てみよう!」という展示で、節足動物の梯子状神経の標本や、いくつかの脊椎動物の脳の標本、そして、Zeissさんに顕微鏡を貸していただいて切片で神経細胞を観察するなどのデモを行いました。
(ZeissのY様、本当に有難うございました!)
「身体性認知脳科学グループ」では、工学部の石黒研が二足歩行ロボット等の実機を動かしたり、その他の研究室メンバーにより錯視のデモなどを行いました。
「社会性脳科学グループ」では、遺伝子変異マウスの行動のビデオなどをモニターで見せての説明を行いました。
どのブースもかなりの人だかりになって、担当の若手メンバーは大変なことだったと思います。
本当にお疲れ様でした。
二人目のトークはGCOEメンバーである医学部の森悦郎先生で、認知症についてのお話でした。
こういう「医学モノ」はもともとギャラリーの関心も高いものですが、熊倉さんとのやりとりで進めたことは、理解度をより高めたと思われます。
質問コーナーで、「脳トレは認知症の予防に効果がありますか?」というものがあり、さすが、関西出身の森先生は「脳トレよりは<脳カフェ>でしょう! 知的な刺激が認知症の予防に役立つと考えられます」と切り返され、会場からは拍手が出ていました。
脳トレもしないよりもした方が、と思いますが、トレーニングよりも楽しく脳を使うのは良いことかもしれませんね。
講師の瀬名さん、森先生、そして熊倉さん、本当に有難うございました!
来場者は、パンフレットのはけ具合から見ると延べ220名くらい、パンフレットを取らずに展示のみ見て行かれた方も多いようなので、延べ300名くらいが来て下さったものと思われます。
予想以上の来場者だったので、とりあえずは良かったとほっとしました。
休日出勤でお世話いただいた事務局メンバーの方々にも心から感謝しています。
また、タリーズのコーヒーや書籍の展示販売を請け負って頂いた辛酉会の方々、本当にお世話になりました。
やっぱり<カフェ>はコーヒーがなくては!
今回のカフェは最初の一歩と思っています。
私たちのグローバルCOEは「脳神経科学を社会に還流する教育研究拠点」を謳っていますので、今後も市民への発信をいろいろな形で続けていきたいと願っています。
年明けからはさらに強力な布陣になる予定。
もちろん、研究もガンガン進めなければなりませんが、大学の中だけに閉じることなく、社会との関わりを大切にしたいと思います。