世界最高齢の三つ星シェフ

某○シュランガイドの調査員が、どれほど広く公平にサーベイしたのか、はてまた、本当に鮨の味を理解できたのかはともかく、「すきやばし次郎」の寿司職人である小野二郎さんが「三つ星シェフ」の栄誉に輝いたというのは素晴らしいですね。
なにせ82歳で現役で、毎日、カウンターの中で黙々と500カンのお鮨を握るということです。

実は「職人」がとても好きで、デパートで人形焼きのデモンストレーションをしているのでさえ、じっと眺めてしまう性質です。
以前に『天ぷら「みかわ」名人の仕事』(プレジデント社)という本を読んだとき、ちょうど小野二郎との対談が載っていて、天ぷら職人vs寿司職人で、いろいろな流儀や作法を披露しあっていましたが、二郎さんは「仕事をする姿が綺麗でないと」ということを強調されていたのが印象的だなぁと思っていました。

ちょうど、今日の「NHK プロフェッショナル 仕事の流儀」がこの二郎さんだったので、思わず見てしまいました。
毎日、仕事に行くのに、中野駅まで40分歩いて、それから地下鉄で銀座まで。
やっぱり歩くのは大事なんですね。
仕入れと仕込みは息子や他の人に任せるようになったとのことですが、仕込んだネタをお客に出せるか判断するのは二郎さん。
「無駄が極上を生む」って、そりゃー、高くもつくようになりますね。
ま、お客さんに出されなかったネタは賄いのご飯になるのですが。

それにしても、星の数が決まるよりも前に取材しているのは、きっと取れるという確信が放送局にあったのか、少なくとも、授賞式がらみでフレンチのジョエル・ロブションが1年ぶりに来日し、馴染みの「次郎」に寄ることは確実だったから、どう転んでも番組にはできるとふんだからなのか。

ロブションが言った、二郎の鮨は「la purité(清純)」という言葉は印象的でしたね。
外側3層の米粒はしっかりくっついているけど、中側には隙間が多い(以前、ガッテンでは、わざわざそのCTスキャン画像を見せていましたがー笑)という握りに到達するのに、「不器用だったから、人の2倍、3倍は努力しました」とにこやかに話す二郎さん。
「目で握る」というのは、お客の食べるスピードや、その表情から満足度などを判断しつつ、仕事を進めるという流儀。
そして、82歳の今でも「さらに上を目指す」毎日で、例えば、車海老の握りの向きが去年から今年でバージョンアップして、より美味しく食べられるように工夫されたとか(すみません、食べてないので、テレビを見ただけでは分かりませんー苦笑)。

心臓の不具合や甲状腺癌の切除などがあっても、耳がちょっと遠くなっても「まだ仕事ができるから大丈夫です」と言われる。
下戸でお酒も召し上がらず、ひたすら仕事が好きな方なのだなぁと感じました。

*****
ところで、多くの外国人は鮨をspicy foodと思っていて死にそうなくらいの山葵を付けたり、お醤油の海の中にシャリを浸けて解体させたりしまうことがよくありますが、適量のお醤油を刷毛で塗って出すスタイルは、いつ頃、どこから生まれたのでしょうか?

【追記:茂木健一郎のクオリア日記】
二郎さんのことが書いてありましたので
by osumi1128 | 2008-01-08 23:29 | 味わう

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