サイエンスとアートの良い関係
2008年 01月 14日
私の師匠である先生のところでは昨日だったのですが、京都で用事があって今年は欠席。
三が日も着物を着なかったので、「そうだ、京都に着物で行こう!」と思って、濃い緑色の縮緬地に小さな羽子板の小紋で出かけました。
(ちなみに、以前、この小さな羽子板の模様を見て「これは酒瓶ですか?」と訊いた人がいました。季節を考えて訊いて欲しかったですねー笑)
インドほどではありませんが、伝統的な衣装を着る習慣が今でも残っていることはいいことだと思っています。
なんといっても季節感や物語があるし。
残念ながら、ボタンやファスナーなどの金属やプラスチックを使わない衣装なので、確かに着るには一定の技術が必要で、若干時間もかかります。
原則的には、丸ごと着物を洗うのは手間暇お金がかかるので、長襦袢の「半襟」を付け替えるのですが、一昨日の晩、久しぶりにお裁縫道具を取り出しました。
この余裕が普段はなかなかなくて……。
連休だったのは有り難いです。
着物は不思議なことに、かなり「直線」で出来上がっていて、それを「着付ける」ときに自分の身体に合わせます。
もちろん、身幅などは仕立てのときに採寸して合わせて頂いているのですが、それでも着付け方でゆったりともきっちりとも着られます。
この「直線断ち」の良いところは、畳んで仕舞うのに省スペースということもありますが、なんといってもリサイクルしやすいことです。
着物として仕立てられたものが、痛んできたらほどいて羽織になったり、襦袢になったり、あるいはパッチワークして座布団になったり、着物を包む布に生まれ変わったり。
今朝、一晩吊しておいた着物を畳みながら、そういえば英語では畳むも折るもfoldだなぁ……などと考えていました。
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土曜日の晩、NHK教育のサイエンスZEROで「アートと科学のフシギな関係」という番組を見ました。
植物が一杯並んでいるので何かと思えば、それらの植物から出る微弱な電流を音に変換して、訪れた人にリアルタイムで聴かせるとか、大きな鉄板の上に砂を置き、鉄板をこするとその振動によって砂が移動して、美しい幾何学模様になるとか、「光学」の発達により点描画が生まれたとか(これはよく知られたことだと思いますが)、非線形の式で描かれる模様をコンピュータ上で刻々と変化させ、そこで美しいと感じたものを残したグラフィック系アートとか……。
ディレクターは『論文捏造』を書かれた村松秀さん。
村松さんはアートもお好きなので、こんな番組を仕立てられたのですね。
コメンテーターは東大工学部教授の大島まりさん。
一昨年くらいにご出産され、しばらくお目にかかっていませんでしたが、サイエンスZEROにも復帰されましたね。
ご自身も綺麗な方なのですが、妹さんが建築家だとのことで、なるほどと思いました。
村松さんからご案内を頂いていて、この番組を見るために、土曜日、テレビのチャネルをしばらく前から教育テレビに合わせて待機していたところ(なにせ、ザッピングできない質なので、そうしておかないと忘れて他のチャネルを見続けてしまいます)、サイエンスZEROの1つ前の「トップランナー」という番組では「マガジン・デザイナー」の野口孝仁さんという方が出ていました。
an anやnonnoの時代から「雑誌」という媒体が結構好きで、女性誌に関してはかなり「創刊号マニア」でもあり、編集者という職業もやってみたかったものですから、この番組は思わず見てしまいました。
「究極のグリッド」を目指しているとのことで、あ、「グリッド」というのは、雑誌の誌面を区画に区切って、写真や文字を割り付けるスタイルのことなのですが、確かに、彼の手がけた『東京スタイル』などでは、それが際だっていますね。
逆に『FRAU』などでは「宝石箱をひっくり返したような感じ」になるよう、面白いコラージュがたくさん使われています。
今はデザインはほぼコンピュータ上で行う訳ですが、例えば表紙にどのように画像と文字を組み合わせるか、などの作業の際に「手で考える」という表現をされていました。
そして、「あ、ここ!」という位置がぴたっと決まるのだそうです。
こういう感覚は、実験をしているとき、データを見直しているときなどにもありますね。
逆に、「決まらない」感覚のときは、何かが足りない、何かがおかしい、というような。
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東北大学脳科学グローバルCOEでは、年度末に向けてAnnual Report(名称未定)を作成しようと計画していますが、どんなものに仕上がるか、どうぞ乞うご期待!
「伝わるサイエンス」「面白い脳科学」「リアルな研究者像」そして「脳科学なら東北大!」を目指します。