衣替えの季節
2005年 05月 29日
至適温度の低い私にはこの気候がとても有り難い。
(気温28℃を超えると私の体の酵素反応は不活化される。)
夏でもレザーや薄手のウールのはおり物が着られるのは、ちょっとヨーロッパ的だと思う。
アメリカでもサンフランシスコなどは、夏にかえって気温が低く、以前8月に訪れた際に、毛皮!のご婦人が通りを歩いていて仰天した。
(同じときに、かたや半袖Tシャツのお兄ちゃんもいるのだが)
また、アメリカやイギリスの友人宅に泊めて頂くと、クローゼットの中に冬物と夏物が同居していて、「衣替え」の習慣がないことを実感する。
さすがに仙台ではそこまでいかないが、梅雨が明けるまでコタツを仕舞わない、という話も聞いたことがあるし、10年前くらいまでは夏にエアコンが無くても暮らせたらしい(今でも夜はエアコンを切って寝られるのが有り難い)。
どうか人為的な温暖化が進まないように皆で気を付けて、この環境を保って欲しいものである。
さて日本の「衣替え」は6月1日からということになっている。
学校の制服の場合は袖が短くなったり、暗い色から白っぽいものになるが、着物の世界では6月から、単衣(ひとえ)といって裏地の付いていない着物に変わる。
この変化はとても季節の移り変わりの喜びを感じるものである。
5月一杯、少々暑くても袷(あわせ)を着て、さて6月になると軽やかな単衣を纏うのだ。
西洋的・合理的考え方に則れば、気温に合わせて衣服を選ぶのが当然であろうが、少々の不自由さを堪え忍ぶことで、季節の変化を楽しむことができる。
季節の変化は単に袷と単衣ということだけでなく、色や素材の使い方にも表れる。
当然、秋から冬は暖色系が見た目にも暖かい印象を与えるし、春から夏は爽やかな色を着ることにより、自分も周りの人も心地よさを感じる。
都会ではどんどん環境が人工的になってしまい、ファッションも食べ物も季節感が少なくなりつつあることは残念に思う。
冬に部屋の中でノースリーブを着るのはお洒落だと思うが、仙台の2月末に地下鉄の駅でサンダル&生足のお嬢さんを見かけたときには、卒倒しそうになった。
まあ、こういうことを感じるのは私が年を取ったからで、確か大学生の頃は母から「冷やしては駄目よ」とさんざん注意されていたような気がする。
世代間ギャップというものか。
さて、今週前半は東京出張で、後半は第38回日本発生生物学会が国際センターで開催される。
大会長は東北大学生命科学研究科の仲村春和先生。
http://www.sasappa.co.jp/hassei38/kaisai/jsdb2005/
仙台が一番美しいこの季節に、多くの発生研究者達が集い、熱い議論が交わされるのが楽しみだ。
山菜の旬は終わったが、ホヤ、シャコエビ、殻付きガゼウニ、アナゴ、カツオ、そして仙台牛などなど、山海の美味を地酒とともに味わって頂けたらと思う。