日本にはいくつの国立大学が必要か?
2008年 02月 21日
というと「えっ、仙台ってそんなに近いんですか?」と驚く方が(とくに関西以西で)多いのですが(脳内の日本地図で、仙台と札幌がかなり近寄っているイメージですね)、はい、そのくらい近いんです。
本日は同じ新幹線で東北大学関係者2名にお目にかかりました。
このあたりの感覚が東京とは異なりますね。
会議の後、昼食を摂りながらの雑談の折に、これからの大学はどうなるのか、やら、競争的研究費のあり方などが話題に上りました。
サイエンスポータルを覗いていましたら、ちょうどこんなレビューを見つけました。
【2008年2月19日 外部資金得られない国立大学の生きる道は 】
科学技術政策研究所の報告書「国立大学法人の財務分析」を元にレポートされています。
法人化するという決断をした訳ですから、本来的意味から言えば、独立採算していく方向を目指すのが筋な訳ですが、東大で基盤的資金(運営費交付金、施設整備補助金)に対する外部資金(外部資金、科学研究費補助金)の比率が70%というのは、全体の資金の約40%を外部資金で賄っているという意味ですね。
うーん、東大でさえまだ40%……。
元の報告書の方には目を通していないのですが、この内容を伝える科学新聞の記事によれば「外部資金収入の比率が20%に満たないとされている大学の数は48と全体の55%」ということです。
教育系や文化系中心の大学では、外部資金獲得が難しいからですね。
少子化による労働力不足を経済界は心配していて、外国人学生を増やすべき、という圧力をかけていますが、現場の事務が対応するためには、半数解雇でバイリンガルの事務系職員登用くらいの改革をしないと無理でしょうね。
(もちろん教員も英語での授業に対応できない方を解雇しないといけませんね)
私個人は、「少子化なんだから、ようやく手厚い教育が可能になる!」と捉えるべきと思うのですが。
つまり、学部学生にプラス大学院生を多数、指導する「大学院重点化」をしてしまった訳ですが、やはり、東大、京大さんあたりは是非「グランゼコール」として、大学院大学化していただいて、教養学部教育からは解放され、日本のみならず世界から優秀な学生を集める路線に走っていただくべきかと思います。
そこまでの英語化対応等が不可能な大学は、学部までの教育を、主として日本人を対象としてしていただく、あるいは、大学によっては、英語化対応、でもお金や設備のかかる理系の実習などは一切行わない、などの特化の仕方があってもよいのかもしれません。
とにかく、「現状のままで」留学生を押しつけられることには抵抗しないと、破綻すると思います。
教員一人あたりの学生数の国際比較の数字を、もっと全面に押し出すべきでしょう。
しばらく前に、確かスタンフォードの元学長かどなたかの講演を聴いたときに、ラフに言って、うちの大学の半分くらい、と思った記憶があるのですが、正確なところは覚えていません。
国立大学の数そのものは、もともと、しっかりとした根拠を元にして増やしたのではないと思いますから、この際、きちんと見込み学生数や、必要な事務職員数、教員数(研究主体、教育主体、補助職含む)などをシミュレーションして、理想的な数字をはじいてみることも必要かもしれません。
その上で、超借金国である日本でいくつの国立大学を残すべきなのか考えないと、全体のレベルが下がります。
ちなみに、「国立大学」の学生さんは授業料をタダにして、その代わり、勉強しなかったら退学というのが望ましいと思いますが。