夕焼けはなぜ美しいか
2008年 02月 24日
なかなか、まっすぐには春になってくれませんね。
金曜日の晩に久しぶりにジムに行き、マシン・ランニングや筋トレをしていましたら、どこかの民放で『女性の品格』(坂東真理子著、PHP新書)が何故、爆発的に売れたのか、という分析をもとにした番組を流していて、へぇーと思って自転車を漕ぎながら見てしまいました。
女性向けということで、普通の新書より1頁の字数を1割程度減らした。
1つの項目は2頁程度(通勤などでとぎれとぎれでも読みやすい)。
全部で66項目あるので、いくつかは共感のある内容が含まれる。
225頁にわたるので、まぁ、読んだ、という気になる。
というような本作りとしての「テクニック」に加えて、綺麗な女性タレントの著作ではなく、東大卒、総理府入省、男女共同参画局長、オーストラリアの総領事などを歴任し、現在は昭和女子大の学長、という素晴らしい経歴に基づいていることが信頼感を与えているとのこと。
2006年10月に刊行され、これまでに280万冊が売れたそうです。
で、「品格」ものは苦手だなぁと思っていた私ですが、早速土曜日にジュンク堂を覗いたついでに購入。
2時間程度で読みましたが、これって「ハウツー本」だったのですね!
もっと思想っぽい感じかと思っていたのですが。
第一章の「マナーと品格」の一番最初が「礼状をこまめに書く」でした。
ううぅ、頭がイタイです。
15年前はもう少し書いていたのですが、電子メールでのやりとりが多くなると、なかなか書けませんねぇ……。
展覧会などに行くと今でも習慣で気に入った作品の絵葉書を買ってしまいますが、溜まる一方。
漢字も忘れていますし。
第四章「品格のある暮らし」では「花の名前を知っている」という項目がありました。
これも耳が痛い。
お茶を習っている身であれば、本当はもっと知っていなければいけないのですが、秋草などは分からないものだらけです。
全部読んでかなり反省モードになりましたが、半分は女性でなくても当てはまるし、もしかすると女性の部下や学生さんなどと接する上司や先生が読んでもよいのかもしれません。
女性といえば、お母さん、奥さん、娘、あるいは飲み屋のお姉さんしか知らないような方は是非!(笑)
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しばらく前に京都で購入した蛸唐草の六寸皿が届いていたのですが、梱包を解く暇もなく過ごしており、今日になってようやく取り出しました。
伊万里は流行りすぎてしまったので、手を出す気にならないで過ごしてきましたが、実用的な面からは使いやすい器です。
白地にブルーの色合いは、和も洋も、どんなお料理も受け入れる包容力がありますね。
で、一念発起して、お店へのお礼状をしたためました(笑)。
「そういえば、今、葉書に貼る切手って、いくらだったんだろう?」と分からなくて、ネットで調べたら「日本郵便」になっていました。
……浦島太郎状態です。
50円切手が手元になくて、ずっと昔に買った62円の記念切手を貼っておきました。
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いつのことだったか、友人とバーでとりとめもなく話をしている間に、カウンターの上のたくさんの瓶とグラスに目がいき、「人はなぜ、美しいものを美しいと思うのだろう、美しいものを求めるのだろう」という話題になりました。
その人曰く、「人が地球上に出現した頃の生活はきっと厳しかった。まだ武器を持っておらず、他の動物に襲われないかどうか、いつも緊張していた。だから、<美しいもの>が癒しとして必要だった。」
つまり、夕焼けを見て、それを美しいと感じて、ドパミンやらセロトニンやら、あるいはエンケファリンやらエンドルフィンやらが分泌される神経回路を作ってしまったということなのでしょうか。
社会的に学習する「美」もありますが、一番根幹をなすのは、人類全体に共通する美の意識でしょうね。
夜空に輝く星を見て美しいと思うのは、他の獣に襲われる恐怖を和らげたかもしれません。
草の葉の上の朝露の滴は、夜が明けた嬉しさとともに、美しいものとして認識されたのでしょう。
やがて人に知恵が付き、文明が生まれ、産業が興り、そういう間にも人は常に美しいものを求め、そして自らも作るようになったということですね。
エッチングで模様の付いたアンティークの小さなリキュールグラスを見ながら、そんな話を思い出しました。