無事投稿

朝から東京日帰り出張でしたが、予定通りに終わったので、仙台に戻っていくつかの仕事をこなしました。
なんといっても、スタッフの人の論文を一つ投稿できたことが一番大切で嬉しいことでした。

いくつか進行中の論文を抱えていても、最後、投稿するときは一つずつということになります。
よく使う比喩なのですが、ちょうど、改札を通過する際は一人一人になる、というようなものですね。

研究者というものは論文書いてナンボだと思っています。
(学者なら本を書いてナンボですね)
私たちの分野(発生生物学、神経発生学、神経生物学等)では、若い人なら年に1本書ければ職があると思うのですが、この「書く」ことが案外難しいのです。
というのは、論文は基本的に「外圧がない」ので、本人が「書きたい!」という気持ちが強いか、ボスが「書きなさい」というプレッシャーを与えるか、がないと、ずるずるとどこまでも、どこまでも、何も書かなくても月が過ぎ、年が過ぎしてしまうのですね。

学位論文を出すときには、本人も周囲も「なんとかしなくては」という意識が強いのですが、それを過ぎると、「まだこのデータが足りない」「このデータが出たら書こう」「先日の学会で、誰某さんからこうこう言われたから、そのデータを取ってみよう」などなど、いろいろな理由によって論文を書くのが後回しになります。

学会でsuggestionsを下さる方は、もちろん建設的なコメントをしてくださるケースがほとんどなのですが、でも、じゃあ、代わりに論文を書いてくれる訳ではなく(当たり前ですが)、行き当たりばったり、好きなことをコメントされることも多々あります。
それをすべて真に受けて、データを取って直して書いても、投稿したら査読者は独自に「あれをやれ、これをやれ」と無理難題を押しつけてきます。
ですので、まずは自分のストーリーをきちんと立てる、それに必要十分なデータを揃えることが第一です。

そういえば、今日、会議でご一緒だった先生から、「昔は単純労働をしなければならなかったが、それだからといって、研究が遅れていたかというとそうでもない」というお話を伺いました。
例えば、前の晩に(論文を投稿したからであれ、その他の理由であれ)大酒を飲んで、翌日、二日酔いでふらふらのときに、昔ならまず「試験管洗い」やら「大量ミニプレップ」をして二日酔いが収まるのを待った。
今は、そういう単純労働が自動化された機械に置き換わってしまったので、二日酔いの頭でできるような作業がなく、ぼーっとモニタを見ているだけ。
自動化されたことが論文生産性にリニアに結びついてはいない、というご意見でした。

まあ、wetなラボならではの話ですが、ある一面を突いているご指摘ですね。

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明日は、グローバルCOEの外部評価委員会を開催することになっています。
首を洗って臨まないと……。
by osumi1128 | 2008-02-28 02:05 | 雑感

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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