好きなことを仕事にできるという幸せ・その2

昨日、懸案事項であった「ガジュマル治療大作戦」を決行すべく、鉢を車でラボに運びました。
うちには「植物のお医者さん」的存在のNさんというスタッフがいて、昨年お誕生日のお祝いに頂いたアンセリウムの株分けやら、各種水耕栽培実験などが行われています。
ガジュマルにとって2回目の冬越えだったのですが、秋頃に投入した活力剤がかえって合わなかったような印象もあり、また私の出張の間、カーテンを引いた寒いリビングに置いておかれることが続いたせいか、昨年よりもさらに具合が悪くなってきて、「これはあかん!」ということでNさんの手に委ねることになりました。
早速「乾燥気味なので、たっぷり水をやり、霧吹きで葉水も与えます」という治療方針となりました。
ラボは夜まで明るいですし、うちよりも毎日暖かいので、この南国生まれの植物にはベターな環境だと思います。
早く復活してくれることを期待しています(でも、たぶん、うちには持って帰れないかも)。

*****
さて、金曜日のことですが、東大で開かれた「世界のスーパー女性研究者が語る〜アカデミアの男女共同参画と学術の発展」というシンポジウムの午後の部のパネリストとして参加してきました。
小宮山総長が開会のご挨拶をされ、文部科学省科学技術・学術政策局長の森口氏、内閣府男女共同参画局長の坂東氏からも来賓挨拶があり、国会の関係で午後の冒頭になりましたが、森山眞弓衆議院議員からもご挨拶、ということで、さすがは東大です。

ちなみに、東大法学部卒の女性からは3名の文部(科学)大臣が輩出され、森山議員も坂東局長も同じく東大法学部。
(母校のシンポジウムだからこそ、駆けつけて下さったということでもありますね)
理IIIから同じくらいのエスタブリッシュした方が生まれるのは、いつ頃になるでしょうね?
それができないのだとしたら、人材をうまく活用できていないことになりますね。

さて、基調講演として3名の海外からの女性研究者と黒田玲子先生によるお話がありました。
脳科学、環境科学、社会科学、化学・発生生物学というバラエティーに富んだ専門の御講演内容も興味深いものでしたが、Heidi Nepfさん(環境科学)の言葉の中で印象的なことがありました。

環境科学という学問は、いろいろな学問の境界領域に位置し、当時始まったばかりの新しい領域だった。既存のヒエラルキーがあまりなかったので、やりたいように研究をして、エスタブリッシュできたのだと思う。


これはかなり一般的なことかもしれません。
バイオ系を見渡したときに、世界的に見ても女性研究者が多いのは神経科学と発生生物学です。
どちらも、融合的な分野だと思います。
ですので、きっと新しい分野にチャレンジすることが、女性でも男性でも、生き残るチャンスかもしれません。

Nepfさんの講演では、いろいろなアドバイスがあったので記しておきます。
Establishing onself in a chosen field
Work hard
Do what you love
Share what you do-Its really all about communication

理系分野において、コミュニケーション力は数学と同じくらい重要だと仰ってました。
そういう意味で、高校時代に「文理」を分ける日本の受験対策は、大きな問題だと思われます。

Find a mentor-a trusted advisor.
Don't be afraid to ask questions.

何事も相談できるメンターを作るということは、若い方にとってとても重要です。
また、人は「喜んでアドバイスしたがる」性質があるので、それを利用すべきとも。

Different leadership style
円卓の周りに皆が座ってディスカッションすると、誰でも気兼ねなく意見が言えて、斬新なアイディアが生まれる。


パネルディスカッションの時間は大幅に遅れていましたが、大沢先生の仕切り方はなかなか見事でした。
フロアから長々とコメントなんだか質問なんだか要領を得ない話がくどくど続く(リタイアしたくらいの男性)のを、「論点を整理しますと、これこれ……ということですね?」とまとめたり。

最後に「一分で」というコメントは私のところまで回ってこなかったので(笑)、ここに記しておきます。

アカデミアというのは、好きなことを仕事にできる幸せな職業の一つです。「好き」だからこそ仕事に没頭し、ワーク&ライフバランスが「ワーク」に傾くこともありがちかもしれません。でもそのバランスは状況に応じてflexibleであるべきで、そういう働き方の多様性を認めることが(男女関係なく)学術の発展に重要でしょう。
もう一つ「メンターが大切」というご指摘がありました。年長のメンターの方も大切ですが、いろいろなことを相談でき、批判もしてくれる「友人」も大切です。同じ業界の違う組織の方でも、同じ職場で違う分野の方でも、あるいは、仕事はまったく関係ない、趣味を同じくする方でも。そんな多様な人間関係が、心を豊かにし、ストレスを和らげ、また、違った発想を生むことになるでしょう。

by osumi1128 | 2008-03-30 11:01 | 科学技術政策

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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