音楽はサイエンス!

本日はランチタイムにお花見(雨だったのでしたつもり)兼、新入生歓迎会でした。
学生さんとしては、学部生1名、修士2名、加えてポスドク1名の方が先週から加わって、賑やかになっています。

昨晩の総説原稿受理に加えて、夜中に来ていたメールで、先日、米国神経科学学会のオフィシャルジャーナルであるJ Neurosciという雑誌に受理されていた論文が、カバーを飾ることになる、という連絡もあって、何よりでした。
この論文では、グリア細胞の一種であるアストロサイトの、これまであまり明らかでなかった増殖・分化のメカニズムの一端を明らかにしたもので、非常に重要だと思っています。
Wikipedia(日本語版)におけるグリア細胞の記載は、まだまだ情報不足ですね。
英語版だとこのくらいなのですが、外部リンクで最新の総説を挙げるなど、much better。

いろいろ考えられるのですが、神経機能はニューロンですべて理解できると信じている(あるいは、グリアは存在しているけど、とりあえず無視する)研究者が日本では多いせいなのか、細胞が分裂したり、違う細胞に変化する(=分化する)という、ダイナミックな現象について、きちんと語られていないためなのか。

なにせ、グリア細胞と神経幹細胞は、実は似た仲間である、ということもありますので、もっときちんと表現していかなければなりませんね。

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本日夕方、東北大学病院タリーズ開店2周年のお祝い会がありました。
病院長に「△△△などのコーヒーショップがあるといいと思うのですが」という直訴メールをお送りして、財団法人辛酉会さんのお力があって実現したのが、もう2年前というのは、感慨深いことです。
朝7時から夜8時まで、年中無休で、大学病院・医学部関係の教職員、学生のみならず、患者さん、お見舞いの方、業者の方など、みんなの憩いの場になっていると思います。
惜しむらくは、まだ無線LANが使えないこと。
これが整備されたら完璧ですね!

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その後、打合せを兼ねた夕食で、とても素敵なお話を聴きました。
それは、かつてのリベラルアーツの7つの科目のうち、3つは言語に関することなのですが、残り4つは、算術、幾何、天文、そしてなんと「音楽」だったのだそうです!
つまり、ローマ時代末期、音楽の素養というのは「理系」の科目だとみなされていたということになります。

確かに、和音は周波数の整数比ですので、極めて数学的にも美しいものですし(バッハの「平均律」というのは、何故そういう名前なかと思ったのが最初かな)、脳科学的には、どのようにして、2音が単純な周波数比にあって協和した状態のときに「美しい」と感じるのか、とても興味があります。

余談ですが、小学校の高学年のときに、桐朋子供音楽教室というところに毎週土曜日通っていました。
調音(メロディーや和音を聴いて五線譜に書き取る)のトレーニングをしたがために、絶対音感が染みついてしまって、日常生活には困ること(音の取れる音楽を聴きながら本を読んだり、字を書いたりできないなど)の方が多いのですが(溜息)。

その頃、呪文のように覚えさせられた「長三度」「完全五度」などが、なぜそのように呼ばれるのか、不思議に思っていたのですが、その先生は説明してくれませんでした。
(興味のある方はこちらをどうぞ!)
もし、知っていたら、子供でも、ただ聴いて美しい和音、というだけでなく、宇宙的な美しさを感じていたかもしれませんね。
あ、平方根って小学生の学習指導要領には入っていなかったかな?
by osumi1128 | 2008-04-12 00:58 | サイエンス

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