MRC人類遺伝ユニットにてセミナー

夜中に何度か目が覚めましたが、頑張って6時までは横になっていました(笑)。
朝ご飯は7時半からというのがSimonのお決まりなので、いつものように、ブラッドオレンジジュースとシリアル(ミューズリー)のミルクがけとコーヒー(VeronicaとSimonはその他、いくつかのサプリメントを摂ります)を一緒に頂きました。

Veronicaの車でMedical Research Council(MRC)の人類遺伝ユニットに向かう途中、美しい国立公園の傍や、トニー・ブレアが通った高校(建物がお城のようで、ハリーポッターに出てくるような感じ)などを眺め、エジンバラに来たことを実感します。
お店が続く通りでは、1階は色とりどりの看板などで装飾されているのですが、地味な外観の2階、3階がフレームとなって、さほどごちゃごちゃした感じにならないのが面白い。

午前中はVeronicaとのディスカッションで、お互いの研究室の最近の話題について語り合いました。
彼女はSmall eye miceと無虹彩症の原因がPax6(パックスシックス)という名前の遺伝子の変異であることを1991年に初めて発表した著者らの一人で、ちょうどその頃に、私もSmall eye ratを用いて眼の発生と顔の発生の研究を始めたところでした。
一番最初にお会いしたのは、当時エジンバラ大学にいらした別のsenior friendを介してだったと思うのですが、かれこれ10年ほど前だったと思います。
その後、確か8年ほど前に、学術振興会のご支援により日本にご夫妻を招聘し、仙台でPax6に関するミニシンポジウムを開催しました。
日本の滞在はちょうど暑い7月末から8月だったのですが、週末にねぶた祭りにお連れしたり、うちの母も一緒に松島の旅館に泊まっていただいたりしました。
日本の各地の研究者のところにも訪問していただいて、すっかり日本ファンになって下さったように思います(そういう意味で、学振のこの制度はたいへんに有り難い学術交流の機会を与えて下さっていると感謝しています)。

ディスカッションの途中で10時過ぎになったので、「お茶にしましょう」ということでcantineに行きました。
英国の大学や研究所にはたいてい、お茶+簡単なスナック、サンドウィッチ等が食べられるスペースがあって、cafeteriaというよりも小規模な場合も多く、あるいは夜はpubのようにビールが出たりもするのですが、10時、3時、そして人によっては就業時間後に立ち寄り、お喋りをします。
研究室の中にいわゆる「お茶部屋」がないので、必然的にこういう共通スペースでお茶を頂く訳ですが、これが良い情報交換の場になっていると思います。
共同研究や異分野交流を盛んにするには、あえて固有の研究室スペースを少なくするのも良い仕掛けになるかもしれません。
ただ、日本はどうしても「引きこもり傾向」が強く、食堂でも同じ研究室のグループで固まって食べることが多くなってしまうのですが……。
(たぶん、日本において他研究室との自然な交流の場は「喫煙スポット」かと思います−笑)。

お昼に会う予定だった現地の日本人の学生さんとのアポイントが体調不良によりキャンセルになり、図書館のスペースでメールの処理などをし、Veronicaと一緒に持参した果物+ヨーグルトのランチを摂り、夕方のセミナーの前は別の研究室の方々とディスカッションし、4時からがセミナーでした。

ここでトラブル発生!
MacBookを用いてKeynoteで作ったプレゼンファイルを使おうと思ったのですが、MacBookは液晶プロジェクタを認識しているようなのですが、どうにもこうにもスクリーンには映りません。
仕方なく、KeynoteをPDF化し、それを備え付けのWindows系のPCに移してのプレゼンとなりました。
今使っているKeynoteのバージョン2.02は、PowerPointへコンバートすると、美しい「影」などがめちゃくちゃになるし、フォントもヘンな風に変換されてしまうので、PDFの方が再現性が良いのです。

講演のタイトルは「Imparied neurogenesis: a risk factor for mental diseases including schizophrenia」というもので、いくつかのバックグラウンドとなるpublished dataと、現在、投稿準備中のデータを元に話しました。
まだ誰もそんなことを言い出していない5年以上前から提唱している仮説なのですが、最近は気がついてきた方も増えました。
セミナーのホストをしていただいたDavid Porteousも支持者のようですが、まだまだ、とくに臨床の方には納得していただいている状態ではありません。
地道にデータを積み上げて、論文を連発することによって戦っていく必要があります。
つまり、5年のプロジェクトの支援だけでは、業界のコンセンサスを得るレベルまでには到達できないので、少なくとも順調に進んでいる場合には、継続的なご支援を頂くことが必要と思われますし、おそらく引用件数等での分析も、数年経たないとその価値が分からないという場合もあろうかと感じます。

セミナー後にVeronicaと一緒に戻り、ディナーの準備をしました。
今回のメニューは
ヤギのチーズとトマトのグリル、ライムと醤油風味のソースがけ
白身魚のホワイトソースオーブン焼き
付け合わせとして
ポテトのグリル
ズッキーニとポロ葱のソテー
自家製のラズベリーシャーベット

窓から裏庭が見える広いキッチンでのお手伝いは、なかなかにリフレッシュできる時間です。
「ノリコは最近、お料理してるの?」「うーん、ちょっと時間がなくって……」「貴女はどうやって料理を勉強したの?」「祖母の手伝いをしたのと、後は本を読んだり、レストランで美味しくて簡単そうなレシピを真似たり、ってところですね」「お料理って、サイエンスとアートが合体したようなものよね」「あ、本当にそう思います!」
などと話ながら、彼女が作る様子を見てコツを掴みます。
自家製のシャーベットは、アイスクリームマシンを使うのですが、ほんの20分ほどでできるようなので、是非この器械は欲しい!と思いました。

8時にPorteus夫妻が到着してしまって、「何か手伝うことはある?」「では、食器を並べたりしてくださる?」などと、楽屋を見せてしまってのおもてなしですが、平日でもできる、そんな気軽なホームパーティーなのが楽しいですね。
(だって、簡単に言えば、2 coursesのディナーで、何品も作っている訳ではないのですが、どうも日本人は「おもてなし」というと品数を多く出さないといけないという固定観念に囚われていますね)
そういえば拙宅でのパーティーを最近していないことを、深く反省。

食事が終わってコーヒー&ティータイムは別室のsitting roomへ。
今ではフェイクの暖炉ですが、火がともる横での語らいは落ち着きます。
でも、10時半を過ぎると、こちらの時差はかなりの限界。
無事にお開きとなりましたが、お片付けのお手伝いはごめんなさい、して引き上げました。

* ****
MRC人類遺伝ユニットにてセミナー_d0028322_1623161.jpg
明日は(というか、これを書いているのはもう今日なのですが)アムステルダム経由でストックホルムへ移動。
ようやく自分の時間が取れそうなので、いくつか片付けなければならない書類を作ります!(締切過ぎていてごめんなさい)
by osumi1128 | 2008-04-16 16:23 | 旅の思い出

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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