グリア細胞の増殖・分化制御機構
2008年 05月 02日
たいへん名誉なことに表紙を飾りました。
グリア細胞の一種で、脳の中で一番数の多い細胞であるアストロサイトの増殖・分化制御に転写因子Pax6が関わるという内容です。
詳しくは、こちらのプレス発表をご覧下さい。
30日の日経BPに早速掲載されたほか、31日付け河北新報の朝刊3面に掲載され、河北新報ニュースにも載っています。
昨晩はS君と、3月からラボに来ている「少年」S君とともに祝杯を上げに行きました。
博士課程からラボに加わった彼がこのテーマを始めたのがドクター3年になってから(それまで、別プロジェクトを行っていました)。
アストロサイトでPax6が発現しているので、じゃあ、その機能を探ろうとアストロサイトの培養を始めてから、「まず、増殖曲線を描いたら?」というこちらのアドバイスを無視し続け(笑)、紆余曲折。
ドクター4年目になろうという頃に、ようやくそのデータを取ってからは方針が固まり(ほれごらん! オトナの言うことには耳を貸すものです。それができないのが若さ、かな)、さすがにそこからの追い込みは早かったですね。
学位論文として原稿を書き、それからNat MedやNat Neurosciに投稿するも、編集部で門前払い。
これは、「アストロサイトでPax6が働いているはずがない! なぜなら、Pax6はニューロンを作る因子だから」というドグマを強力に主張しているG博士の影響があったかもしれません。
投稿先を変える度にフォーマットを書き換え、神経膠種のデータをはずして北米神経科学学会のオフィシャルジャーナルであるJ Neurosciに投稿したのが11月。
12月に「超好意的なコメント」が2名のレフリーから来て、そこから追加データを取るのに予想外に時間がかかるも(それはそれで、彼にとっては「まなざしの力」を付ける良い経験だったのですが)、3ヶ月で無事に再投稿。
そのまま、受理となりました。パチパチ。
掲載まで1ヶ月半くらいと、最近のプロセスは本当に早いです。
その間にカバーアートを送り、プレス発表の準備をし(グローバルCOE広報室のNさん、お世話になりました)、あっという間でした。
着地だけは妙にきれいに決まってしまったので、少し違和感があります。
とはS君の弁。
Two-authorsの論文ということも美しい。
この論文と、先日Stem Cellsに受理された総説(神経幹細胞におけるPax6の機能)と合わせて、G博士の主張にカウンターパンチを2発、というつもりです(笑)。
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先日、エキストラ募集の紹介をしておきましたが、連休後半に研究室で映画の撮影が行われます。
『ゴールデンスランバー』が2008年の本屋大賞になった伊坂幸太郎の『重力ピエロ』の映画化です。
リアルな実験室の雰囲気が映像に残ってくれたら、研究する人々の普段の生活がちょっとは伝わるかなと期待しています。