史上最高!
2008年 06月 05日
ほぼ同時に鳴った目覚まし時計を切って、まず手帳で飛行機の時刻を確認。
9:25発………なら、間に合う!!!
そこで、慌てて身支度を始める。
大学時代にテニス部の朝練が6:30からだったので、最速10分でかろうじて外に出られる格好になる訓練ができている。
最近は、日帰り、1泊出張の準備もさらに5分以内に完了できる。
車のエンジンをかけたのが8:07で、カーナビが言うことには、目的地への予想徳着時刻は8:46。
よしよし、福岡行きの飛行機には十分間に合う。
朝だったので、メジャーな通勤の方向とは逆だが、若干、渋滞箇所があり、いや、ここで苛々しても何も変わらない、とにかく安全運転! と言い聞かせる。
運転しながら、空港の駐車場に停めるか、やや離れたところから送迎してもらうか考える。
カーナビの到着予想時刻が8:47になったり、8:44になったりするのを横目で見ながら、さすがに何度も通った路なので、原則右側車線をキープして(この方が平均的には早い)、ひたすら仙台空港を目指す。
いつも車を置くこだま駐車場に停めて、「お帰りは?」「明日の朝のJAL便で福岡から帰ります」「わかりました。鍵をお預かりします」
空港まで送迎してもらい、自動チェックイン機に並んで手続きしようとすると、「予約が入っていないので、お取り扱いできません」の表示。
ナンテコッタと心の中で舌打ちしてカウンターに並ぶと、やはり「予約は入っていませんね……あ、明日6日の便になっていますが?」
「おかしいですね。インターネットの予約のときに間違えたようです。すみませんが、とにかく、今日、福岡に行かなければならないのです」
「わかりました。ではこちらが変更しました搭乗券です。明後日の便は予約受付センターにお電話して変更をお願いします」
仙台空港くらいのローカルな空港だと、安全検査の混み方もさほどではないし、ゲートまでもそんなに遠くないのがありがたい。
予定時刻よりも5分遅れで、無事に離陸。
睡眠不足だったので、うーん、今日のプレゼンのパワポは向こうに着いてからにしよう、と自分を甘やかす。
そもそも、仙台—福岡便は、昔はANAも直行便が飛んでいたのに、今はJALが一日2往復で、ANAは中部経由か伊丹経由になってしまう。
プレゼンは夕方なのだが、何度も離陸着陸を繰り返すのは避けたく、朝の便を選んだ次第。
地方都市同士を結ぶのは大変です。
うとうととして、ふと目が覚めて、ハタと気がつく。
え? 今日って、もしかして……金曜日ではない???
先ほど読んだ日経の朝刊を見ると、6月5日木曜日と書いてある。
も、もくようび???
そこで眠気は一気にさめた。
な、な、なんて大失敗!!!
本日は11時からラボミーティング、15時から医学部のパンフレットの打合せ、16:30から名大名誉教授の藤澤先生のセミナー、そのご紹介だけして17:00から片平の本部で理事との打合せ、という予定があったはず。
さぁ、窮地に追い込まれたオオスミ、どうする???
飛行機は(新幹線でも)途中で下ろしてもらう訳にもいかず、すべては着陸してからの勝負。
17時からの会議はひじょーーーーに重要なので、せめてそれだけは参加できないだろうか???
11:25福岡空港に無事着陸して、荷物を持って一旦、到着ロビーに出て、それからさらに国内線の航空会社カウンターを探す。
JAL便は夕方しかないので、ANAのカウンターで、「今から仙台に戻りたいのですが」「仙台ですか……生憎、名古屋経由も伊丹経由も16:00までに到着するのは無理でございますね……」
うーーん、今晩1泊、こちらに泊まるのはどうにかなるとして、でも、会議に出られないのはマズイ。藤澤先生にお目にかかれないのは、もっとマズイ!!!
「は、羽田便は何時でしょうか?」「羽田便ですか……はい、12:15発になりますが」
たぶん14:00くらいに羽田に着けば、14:56発の「はやて」で仙台到着が16:37、片平の17:00からの会議にはjust on timeだ。
「それで結構です。発券してください」「かしこまりました。ターミナルが異なりますので、係の者がご案内いたします」
ANAの地上係員の誘導により、空港の中でターミナルを移動。
ゲートまでアテンドして頂いたところで、搭乗までの時間を使ってラボに電話する。
「オオスミです、今、福岡空港です。携帯メールありがとう」
「(笑)お疲れ様です。」
「ええと、まず、藤澤先生のセミナーは、S君に司会をお願いして下さい。それからセミナー係のS君に、セミナー後の懇親会のセッティングをお願い。15:00からのパンフレット打合せは、広報室のSさんに私は参加出来ない旨、連絡よろしく。パンフレットデザインは見ますので、後でオフィスに持ってくるように伝えてね。Iさんには会議の資料を届けてもらいたいので、連絡下さい」
かくして、福岡—羽田便は出発がやや遅れるも、定刻13:55に着陸。
さて、ここからの移動をどうするか迷っていたが、すでに航空券購入で予想外の出費があり、ほとんどやけっぱちの気持ちもあって、最速で東京駅に着ける可能性の高いタクシーを選択。
「高速で東京駅までお願いします」
「最近はガソリンの値段が上がって、首都高速が空いているんですよ」
「あー、それは空も綺麗になって良いですね」
事故の箇所もなく、正味20分ほどで八重洲に到着。
14:40発のやまびこの指定を取り、これで仙台到着が16:33となる。
やれやれ……なんとかなりそう。
それにしても、地上の移動で目的の駅に到着するのと違って、空港というのは、空間を移動した実感が乏しいものだと思った。
昼前にいたのは福岡空港なのだが、それは何かアイデンティティーが曖昧な印象だった。
普通は空港を出て、その土地の風景にすぐ触れたり、お迎えの人に会うことによってリセットされるのだろう。
45分間だけ福岡空港の中にいて、そのまま戻ってきた私は、いったいどこの異次元空間に移動してきたのか。
*****
荷物を軽くしたかったのと、仙台仕様にはやや寒かったので、新幹線を降りてタクシーで一旦自宅に向かうことにする。
マンションのオートロックの前で、ハンドバッグの中から鍵を……探したが見つからない!!!
こだま駐車場!!!
あー、よりによって今日は急いでいて手前に停めたから、鍵を預けてしまったのだ。
管理人さんに問い合わせるも、鍵屋を呼んで開けてもらうしかないという結論。
うちひしがれて片平へ向かう。
会議の資料を届けてもらった秘書さんに落ち合い、事情を説明。
会議にはちょうど間に合い、2時間以上も議論をし、そこからタクシーで藤澤先生の懇親会が始まっている割烹へ。
これまた場所が頭に入っていなくて、タクシーでうろうろ。
でも、久しぶりに藤澤先生にお目にかかれて何より。
史上最高のドタバタ劇の一日がようやく終わります。
やれやれ……。