『サイエンス・コミュニケーションは科学的センスと日常的センスを磨く現場である』

本日は東北大学脳科学グローバルCOEの教育プログラムとして、東大よりTom Gally先生をお迎えし、「英語でのアカデミックプレゼン」についての講義をしていただきました。
ガリー先生は言語学と数学の修士号を持ち、翻訳や和英辞典などの編集にも携わる傍ら、科学コミュニケーションについても造詣が深く、そのようなバックグラウンドから、東大教養でのサイエンスライティング等のカリキュラムのオーガナイズなどもされています。

今回の講義でも「何のために国際会議をするの?」などの深い問いかけがありました。
スカイプなどにより、情報交換のために、必ずしも一堂に会さなくてもすむようになった時代、より良いサイエンスを創るためにはどんなscientific communicationがありえるのか?
うーん、難しい問題ですね。

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さて、本エントリーのタイトルに取り上げたのは京都大学の鈴木晶子氏の言葉です。
見つけたのはランチタイムに読んだ、日本学術会議の雑誌「学術の動向」2008年7月号の【特集1】の中の<「サイエンス・メディア」の将来>というコラムでした。
とても「センスのよい言葉」だと思います。

ちなみに特集1「科学コミュニケーションとメディア」の執筆者は以下の通りです。
科学コミュニケーションとメディアを軸にした活動について / 毛利 衛
「サイエンス・メディア」の将来 / 鈴木晶子
市民公開講座による医療リタラシーの啓発 / 大野竜三
「科学技術の智」プロジェクト / 北原和夫
大型研究計画とメディア / 平 朝彦
サイエンスカフェ─その効用と課題 / 長谷川寿一
科学コミュニケーターを「科学の演奏者」と位置付け、
高く評価する必要がある / 本田孔士
サイエンスアゴラ:科学と社会をつなぐ広場をつくる / 美馬のゆり
社会に向けたアウトリーチ活動─子どもから大人までを対象に / 室伏きみ子
学術会議はなぜ目立たないのか / 元村有希子
科学コミュニケーションの殿堂化計画─学術会議への要望 / 渡辺政隆


記事は上記HPの最新号のページからPDFがダウンロードできます。
なぜか、毛利さんの分だけPDFがないのですが、特集全体のイントロとして「科学コミュニケーションの必要性」が書かれています。

そういえば元村さんは今、ロンドンでどうしているでしょう?
今年はもう欧州出張はなさそうなので、お目にかかれず残念。

ちなみに、この号では他にお茶の水女子大学の学長の郷通子先生の「私が研究者になるまで」や、名古屋大学の有村奈利子さんの「日本・カナダ交流事業を終えて」という記事も掲載されています。

ところで、女性研究者育成関連としまして、男女共同参画学協会連絡会からの第2回大規模アンケートの報告書がついに公開されましたことをお知らせしておきます。
報告書は大部になりますが、上記HPからPDFとしてダウンロードできます。
このような回答者数の多い、設問数も多いアンケートに基づく報告書は、evidence-basedな施策決定などに役に立つものです。
ちなみに、このアンケートは日本分子生物学会のHPを介してwebアンケートとして行われました。
連絡会や分生関係者の皆様の善意と多大な努力に心から感謝したいと思います。

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本日の画像は仙台で夏に食べられる岩牡蠣とガゼ雲丹(殻付き)です。
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『サイエンス・コミュニケーションは科学的センスと日常的センスを磨く現場である』_d0028322_0124267.jpg

先日来、ずうっと使っていたバッテリーが本日ついに切れました。
かなり沢山の枚数を撮ることができて、これまたデジカメ自体の性能だけでなく、技術の進歩にびっくりです。
by osumi1128 | 2008-07-30 00:15 | 科学技術政策

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