Frontiers in Neuroscience

月曜日からオフィシャルな仕事始めで、とたんにメールのトラフィッキングがものすごいことになってました。
お年賀メールに加えて、年が明けたとたんの日程調整の嵐、とか、査読の催促とか、端から処理していくのですが、見落とし、やら、「後でお返事」フォルダへの入れ忘れ、やらで、積み残しも出たりします。

それでも、懸案事項の『神経発生本(略称)』の原稿、トータルA4で100ページ分くらいを脱稿し、一応、編集者さんにお送りしたので、気分的には「ちょっと良いことをしたモード」。
図の方を編集サイドと詰めていないので、まだ作業は残っていますが。

つくづく思うのですが、理系の業界で仕事をするとしても、「書き物」は非常に多いということを、例えば高校の先生などに、もっと分かって頂きたいですね。
高校までの数学の成績で文理を選択する生徒さんにも「それは違う」と言いたいですが、「理系→理数科目重視→英語・国語は無視」と思われていたら、大きな間違いです。
大学の教養課程の教育体系にも問題があり、本当は「学士」の資格を得るのであれば、理系であれ文系であれ、欧米並みに「毎週レポート提出」くらいの課題を与えて、徹底的に文章作成力を鍛えるべきだと考えます。
若いうちにその力が付いていれば、実際に研究成果を論文に仕上げる際のストレスが違いますし、こちらも文法レベルのことではなく、中身の部分の指導に力を注げるというものです(←愚痴です)。
さらに大人になって仕事をこなす際にも、いかに効率よく作文できるかが効いてくると思います。

……てなことを考えていたところに、12月に送った論文の査読コメントが思いの外、早く戻って来たり、その割には11月末に送った方は、催促のメールを出したら「返事が無いことは良い知らせです。それは今、査読に回っているからです。」というレスが帰ってきて、うーん、確かに、それはそうなんだけど……。

*****
本日のお題は、一昨年から刊行されたonline journalについてです。
Frontiers in Neuroscienceという雑誌なのですが、Frontiers in Molecular NeuroscienceやらFrontiers in Behavior Neuroscienceなど下、それぞれたくさんの部ジャーナルに掲載された論文の中から、さらに選ばれたものがFrontiers in Neuroscienceに掲載されるというシステムのようです。
フリーアクセスの雑誌なのは有り難いですね。
ジャンルがものすごくたくさんあって、Frontiers in Neuroroboticsなんていう分野もあるようです。
印刷体を持たないスタイルなので、掲載される論文数などの自由度が大きいですね。
神経系の雑誌の数は非常に多いのですが、今後、どんな風に雑誌の生存競争が続くのか、見守りたいと思います。

ついでですが、昨年出した論文が、BMB Developmental Neuroscienceという、こちらもonline journalの中で、Highly accessedという連絡を受けました。
こういうフィードバックはIT時代ならではだと思います。

PLoS Biologyなどの雑誌も商業誌ではなくNPOが運営しています。

ちょうど昨日、セミナーをして頂いた方との夕食会で話題になったのが、「論文投稿今昔物語」でした。
「オンライン投稿じゃなかったから、昔は、中央郵便局に走ったものだよね」
「査読者用に3部、図を作ったりして、インスタントレタリングで文字入れたりするのが大変だったね。今はPhotoshopなどで作るから楽だけど」
「ロットリングってのもあったね」
「でも、オンライン投稿になって、査読のプロセスも早くなったけど、翌日rejectのメールが来たりすると、すぐに次の投稿作業になって、休む間もないよね。かつてなら、投稿したらreceivedの連絡が来るまで1週間は休めたのに」
……などなど。
これから先、どんな風に変わっていくのでしょうね。
by osumi1128 | 2009-01-08 01:23 | サイエンス

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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