国際高等研究所にて講演ほか

時差があるから仕方ないのですが、例えば米国東海岸のオフィスから午後のworking hoursの間に送られたメールを読むのは、たいていはこちらの朝になります。
で、朝起きて一番最初に開くメールの中に「reject(論文却下)」のお知らせがあったりすると、その日いちにちがブルーな始まり方になってしまうのですね。
金曜日がちょうどそんな朝でした。
「rejectするなら、もっと早く戻してよー」という気になりますが、今回はクリスマス休暇もはさんでいたので、致し方ありません。
関係各位とメールや電話で相談しつつ、週明けには次の一手を打たないと。

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この金曜日はグローバルCOEで主催しているキャリアパスセミナーの第3回目
バイオ系分野で大学院から海外でのポスドクも経験された上で、国際特許事務所にお務めの方でした。

知財関係のセミナーは大学内でもたくさん開催されるようになってきましたが、かなり「特許側」のプロセスやノウハウのお話が多く、今回、研究における「発見」がどのように「発明」になるのか、などの「つなぎ」の部分について伺えたのは大きな収穫でした。
研究成果が「特許」につながることは国の競争力を高める一つの手段ですが、研究者にとっての「社会貢献」でもあるという指摘は、あ、たしかに、と腑に落ちました。

ご自身の経歴等のお話の中で、「興味深い対象はたくさんあって、一つのことに絞りきれない」といった好みや適性が、研究そのものを仕事とするよりも、いろいろな研究者の最先端の研究成果を特許に繋げるような仕事に向いているのでは、という自己分析がありました。
また「研究をやるなら、常に先端的な技術を使いたいと思ってやってきた」というところも、特許化という仕事に生き甲斐を感じるマインドに通じるところがありますね。
また、現場(海外含め)で研究を行ってきたことが、とても役に立っているというお話でした。
聴衆へのメッセージとして、「研究は研究として自立的にしっかりやってほしい。中途半端では使い物にならない」とも。
特許業界は現在「博士号を持っていたら誰でも」という時代ではなくなりましたが、と釘を刺された上ですが、専門的な研究の経験を活かしたキャリアパスとして、とても良いロールモデルを呈示して下さったと思います。
Sさん、有難うございました。

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金曜日の最終新幹線で東京に移動し、翌日土曜日の始発ののぞみで京都へ。
近鉄に乗り継いで(財)国際高等研究所というところに行きました。
オムロンがかなり出資して作られた「学者村」とのことです。
たしかに、建物の造りがゆったりとしていて、お庭には池もあり、優雅な雰囲気。
招聘フェローの方々がオフィスをもらって研究するには理想的な環境。
もちろん実験はできませんが、インターネットのアクセスやプリンタなどは完備されているそうです。

女性研究者と科学の未来という研究プロジェクトが行われていて、そこでの講演でした。
同じく話題提供者だった長谷川眞理子さんのお話は進化にからめたジェンダー論で、いつもながら面白かったです。
参加者は、やや物理系、化学系の方が多かったようですが、この研究所のフェローの方々や、ご近所の奈良女子大などからいらしてました。
あ、東大理学部広報のYさんも(物理系ご出身というご縁のようです)。
主催者のI先生は「女性の感性を活かした科学・研究はないだろうか?」というような問題提起をされていましたが、私の研究はそう、と言うことは可能かもしれませんが、それよりはむしろ個性だと思います。
あまり、そういうことは考えなくても良いのではと、個人的には考えます。

そういえば、明日から3回シリーズでNHKの番組「女と男」がありますね。
by osumi1128 | 2009-01-11 01:04 | 雑感

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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