第3回博士修了者のキャリアパスシンポジウム

午前中にポスドクさん二人と進捗状況の確認後、午後は青葉山の工学部キャンパスで開催された第3回博士修了者のキャリアパスシンポジウムのパネル討論のコメンテーターとして参加しました。

《挨拶》
 挨拶:  東北大学総長 井上 明久
 「博士人材キャリアパスに係る文科省の取組みと今後の方針について」
   文部科学省科学技術・学術政策局基盤政策課人材政策企画官
    髙比良 幸藏
《第1部》 
 基調講演
 「博士人材キャリアパス事業の背景と国内外機関での取組み」
   筑波大学ビジネス科学研究科大学研究センター教授
   文部科学省科学技術関係人材キャリアパス多様化促進事業企画評価委員会座長
    小林 信一
 特別講演
 「実業界の醍醐味と求められる人間像」
   コムシス通産株式会社 代表取締役社長 元NTTドコモ取締役サービスオペレーション部長
    吉岡 義博
《第2部》 パネルディスカッション
  「東北大学高度技術経営人財活用プランのこれまでとこれから」
 パネリスト
  石井 芳一(アルバック理工㈱代表取締役社長〈第1期卒塾生受入先〉)
  上田  壯(㈱ササクラ総務部長〈第1期卒塾生受入先〉)
  馬場 孝三(住友金属鉱山㈱取締役常務執行役員技術本部長〈第1期卒塾生受入先〉)
  原  信義(東北大学大学院工学研究科教授 大学院教務委員長)
  宮澤 陽夫(東北大学大学院農学研究科教授)
  馬場 耕一(高度技術経営塾第1期卒塾生 多元物質科学研究所助教)
  久間 昌尚(高度技術経営塾第2期卒塾生 大正製薬㈱)
 コメンテーター
  髙比良 幸藏(文部科学省 科学技術・学術政策局基盤政策課人材政策企画官)
  大隅 典子(東北大学大学院医学系研究科教授)
 モデレーター
  髙橋 富男(高度技術経営人財キャリアセンター副センター長 客員教授)
《閉会挨拶》
 高度技術経営人財キャリアセンター長 研究担当理事 渡邉 誠
《第3部》 交流会(有料)


冒頭の高比良企画官のご挨拶には、さまざまなデータが含まれていて、その中では、バイオ系には大学院生やPDが多いのに対して、産業界での受入が少ないという、構造的なアンバランスがある、というものもありました。
(出典は文科省の「大学・公的研究機関におけるポストドクター等の雇用状況調査などです。)
今後、研究資金の配分などにも影響を与えそうなデータだと思いました。

基調講演の小林先生@筑波大のお話の中では、冒頭のスタンフォード大のPaul Romer先生という方が提唱している3種の人材のメタファーが面白いと思いました。
食材:研究者

レシピ:イノベーション人材

料理:技術者

この「研究者」や「技術者」は従来型の人材養成でもなんとかなるけど、食材をいかに活かして新しいレシピを考えられるか、という人材をどのように養成するのかが、これからの大事な視点なのだと思います。

一番衝撃的だったのは、18歳人口の減少が進むと、大学の教員ポストがどのくらい減るとシミュレーションされるか、そうなると、今よりもさらに大学院定員に対しての教員ポストは減るだろう、というデータ。
以前、ブログでご紹介した「岡本の公式」なんているレベルとは桁が違う。
ですので、大学も企業も行政も「変わらなきゃ」いけないのに、それに気がついていない、気がつこうとしない人がとても多いように思います。

日本の組織は「制度で運用」してきて、専門家よりもジェネラリストを育て、現場で何でも対応してきたのですが、その現場の力量には格差が生まれてきていると思われるし、著しい環境変化に対応できていないのですね。
コンサルタント、カウンセラー、コーディネーター、プログラム・マネージャーなど、高度な専門家の能力を「組み合わせ」て対応する「自律分散型社会」への脱却が必要です。

いくつかの企業の方々からは「企業の求める人材」の要件が示されました。
言葉の使われ方はさまざまですが、共通しているのは課題設定能力、コミュニケーション力、リーダーシップ、忍耐力といったところですね。
でも、このような能力は「アカデミアの求める人材」でもあるのです。

卒塾生からは、キャリア塾がどのように役だったかの生の声が。
できれば、1名は女性にしてほしかったけど……(苦笑)。

私からは、関係しているその他の人材育成事業@東北大として、「杜の都女性科学者ハードリング支援事業」(振興調整費)におけるサイエンス・エンジェルの活動や、グローバルCOE「脳神経科学を社会に還流する教育研究拠点」におけるキャリアパス・セミナー(月1回)をご紹介したほか、異分野交流のためにはリベラルアーツの素養が「糊しろ」として大切なこと、キャリア塾ももちろん素晴らしいのだけど、そもそも研究室でも上記のような人材育成は可能であることなどをコメントしました。
一番最後には、「東北大学やキャリア塾などの<ブランド>に頼るのではなく、自分の実力と人脈が大切。それを作るのが大学院やPDの時代」と締めくくりました。

事前申し込みで130名ほどの大盛況。
企業の方も多数来ておられました。
*****

秘書さんが「10周年のお祝いにと思っていたのですが、バレンタインデーにあやかって……」」と下さったのは、紫の薔薇のキャンドル!
ご自分で作られたのだそうです。
素敵な趣味ですね……。
有難うございました!
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by osumi1128 | 2009-02-13 21:11 | 東北大学

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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