若鮎

お茶の世界は5月から「風炉」に替わる。
5月はまるまるお稽古をお休みしてしまったため、昨日が私にとっての「初風炉」だった。

外国の方に「I am taking lessons of tea ceremony.」と言うと、「How long?」と聞かれる。
「More than 15 years.」というとびっくりされ、「どうしてそんなに長くかかるのか?」と問われる。
「お点前の種類がたくさんあって・・」というと「何故? どんなときに?」とさらにツッコミがくる。

たぶん、彼らの発想では、例えばテニスのレッスンなら全くの素人が1ヶ月でゲームができるようになって、ハイそれでレッスンは終わり、あとは自分で楽しみましょう、か、「私はプロを目指すので、さらに個人コーチに付いて練習したい」となるか(そんなわけないか)、であればまっとうなのだろう。
和物のお稽古はちょっと違う。

一服のお茶をただ美味しく頂くのがお茶の真髄であると千利休も述べていて、誰しも究極にはそうであることは疑わないのだが、そのために「修行する」という感覚なのだと思う。
そして、仏門を極めるのとは違うので、普通の人が「楽しみながら修行する」ために、季節ごとや、お客の位の高低によって(と想定して)さまざまなバリエーションを、それぞれの流派が数百年の間に作っていったのだ。
毎回同じお点前しかしなかったら、人は絶対に飽きる。
無駄なく美しい所作で「流れるようなお点前」(であれば、きっとお茶もおいしく点っているはず)ができるようになるまで、お稽古を続けることは不可能だろう。

実験もそんな面があると思う。
ただ原理を本を読んで知ったり、やり方を先輩にならったからといって、本当に安定したよいデータが得られるようになるには(実験の種類にもよるが)数回から半年間くらいはかかるものだ。
その間、指導者は学生が興味を失わないように誉めたり、茶々を入れたりする。
本当は、自分で誉めたり突っ込みを入れたりすることのできる性格が、研究者に向いていると思うが。

まあ、そんな薀蓄よりも、先日述べたように私にとってはお友達と会ってリラックスするための時間なのであるが。

さて、夜は新橋の小さなお店で「鮎尽くし」を頂いた。
塩焼きだけでなく、揚げ物、煮物といろいろ。
若鮎の時期なので、頭からかぶりついて骨まで食べられる(カルシウム摂取)。
手作りの「うるか」(肝を発酵させたもの、塩辛の鮎バージョン)も美味(日本酒のアテに抜群!)
この「うるか」を味噌と合わせて、揚げた茄子にかけてあったものがとても美味しく、さらにこの余った「ソース」をつけてどうぞ、とご飯が少し供され、これが絶品!
(締めの鮎ご飯は、もっと脂の乗った落ち鮎の時期の方が美味しいかも。)
世の中にはまだまだ知らない美味しいものがあると思った。
by osumi1128 | 2005-06-12 10:39

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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