研究人生双六〜あきらめない、くじけない、ねたまない
2009年 02月 23日
東京女子医科大学にて「日本人類遺伝学会・東京女子医科大学女性医学研究者支援室合同シンポジウム」がありました。
東京女子医大は1900年に吉岡弥生によって開闢され、学生の100%が女性である医育機関です。
女性医師や医学研究者の育成において重要なポジションを占めていますね。
私にとっては、人材育成という大きな範疇の中に女性研究者の育成があります。
「女性も男性と同等であるべき」という理念よりも、個々がそれぞれ持つ多様な能力や才能を活かすにはどうしたらよいか、という実際的なことに関心を持ちます。
資源に乏しい我が国において、人材育成こそが国力を高めることであり、平和的に世界に貢献できることだと思います。
シンポジウム開会のご挨拶をされた日本人類遺伝学会理事長の中村祐輔先生も、「人類遺伝学では最近、多様性について取り上げるようになってきた。人類遺伝学会の中にようやく男女用同参画委員会が設置されたことを受けて、今回の合同シンポジウムを開催することとなった。」と話されました。

基調講演をされたのは元少子化・男女共同参画大臣の猪口邦子先生です(すみません、携帯デジカメであまり良い画像ではありません)。
国会混乱中(笑)ではありますが、女性医師の問題には関心が高いとのことでした。
「衰退する組織の幹部には女性が少ない」ことについて触れられ、例えば、農業委員では5%にも満たないという数字はなるほどと思いました。
また、国会議員>政令都市議会議員>町村議員の順に女性比率が下がることも取り上げられ、「諸外国では身近なところから女性が増えるのに、日本は中央集権的」というコメントもありました。
そうであるならなおのこと、トップダウンに酩酊大臣の代わりにこんな方あたりを据えた方が良いのかもしれません。
政党が代わっても、本質的にはあまり変わらないような気がしますね。
その後、特別講演を「研究人生双六〜あきらめない、くじけない、ねたまない」というタイトルでさせて頂きました。
「研究人生双六」は、大学の先輩であるI先生の著書から拝借。
「あきらめない、くじけない、ねたまない」は、実は、以前に猪口大臣のところを訪問した折に言われた言葉「ひがまない、ひるまない、(足を)ひっぱらない」からヒントを得たものです。
伝えたかったメッセージは、「ひとりひとり、人生いろいろなことがあるものだけど、あきらめない、くじけない、ねたまないで生きていきましょう」ということでした。

その後のパネル討論では、厚労省の方、女子医大の女性医学研究者支援室の方(右画像)、兵庫県立医大の方からのお話がありました。
ちなみに、東京女子医大では女性医師再教育センターも立ち上げています。
卒業生だけでなく登録可能とのことでした。
国家試験合格者の3割が女性である今日、多くの方が出産育児を機に離職してしまうのは国家的損失です。
「だから、女子学生は入学させない」というのはオジサンの本末転倒な発想で、「女性医師が仕事を続けられる職場」にすることこそが、劣悪な職場環境の改善や、それによる医療事故の低減につながるのだと思います。