2日目終了&科学者を育てるには

先ほど2日目が終わって部屋に戻りました。
皆さんこれからディナーに出掛けたりするのでしょうが、眠いのでリタイア。
日本人参加者がいない国際学会は久しぶりです。

さて、お約束の画像をアップします。

こちらが学会会場となったAdare Manor Hotelです。
ハリーポッターのホグワーツ校に見えません?
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川も流れていたりして、泊まっている部屋からも見えます。
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講演が行われるのはGalleryと呼ばれる教会のような部屋です。
天井がとても高くて、ステンドグラスなんかもあったりします。
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コーヒーブレイクはこんなお部屋です。
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2日目のランチタイム。
ま、味は問わないということで……(^_^;)
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*****
初日の夜、Keynote Addressをしたのが、古くからの友人John L. Rubensteinでした。
彼はスタンフォードの出身で、学位は生物物理。
ポスドクをパスツール研究所で行い(だからフランスが大好き)、戻って精神科医としての研修をした後に、UCSFでPI職を得た方です。
脳の発生メカニズムを知ることが精神疾患の理解につながるだろうと考えて、特異的に発現する遺伝子のクローニングを行い(今Dlx1と呼ばれている遺伝子は、最初彼の論文では娘の名前にちなんでTess-1と付けられてました)、さらにそのノックアウトマウスを作り、どんな異常が生じるか表現型を調べるというスタイルで一連の仕事を行いました。
その過程で、初期の脳がどのようにパターン化されるか、別の言い方をすれば、神経系のフレームワーク構築の遺伝的プログラムを明らかにしていきました。
そして今、ついに精神疾患の解析のところまで辿り着きつつあります。
彼の場合には自閉症をターゲットとしています。

2日目のKeynoteはフランスINSERMの認知イメージングユニットを率いるStanislas Dahaeneという方でした。
こちらは初めてお目にかかるので、Wikipediaで調べたところ、元々は数学を専攻され、その後、実験心理学により学位を取り、認知機能の理解をテーマにしています。
今回のタイトルはWiring the Brain for Reading and Math: the Neuronal Recycling Hypothesisとなっていました。
生まれつき何も書きこまれていない状態から、すべて学習によって習得するのではなく、すでにインストールされている脳機能を使い廻すことによって、「読み書き」や「そろばん」を会得する、という説を主張しています。

お二人とも、現職に就くまでのキャリアパスに幅がありますね。
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ちょうど、今年度もまた文科省の人材委員会に関わることになり、科学技術人材育成について、第4期の基本計画策定も見据えた議論を行うので、いろいろな方がどのような道を歩んできたのか、感心を持っています。
今回、旅のお伴に連れてきた本も、先日編集部より謹呈された『DNAのワトソン先生、大いに語る』(ワトソン著、吉田三知世訳、日経BP社)で、ワトソンおじいちゃんの自慢話でもあるのですが(笑)、彼の時代のアメリカの教育システムについて、なかなか参考になる記述があります。

例えば、1940年代のシカゴ大学やインディアナ大学では、30代(!)の学長が大学改革を進めたこと。
学長というのは、学問を成し遂げた方の名誉職なのではなく、大学をより良く運営していくことを専門とする方であるべきなのかもしれません。
また、大学や大学院ではきちんと講義がなされ、それは比較的少人数のクラスで、学生の理解度や進路によって、多様な選択肢があることも、日本との大きな違いでしょう。
そのためには、教員の数は現状の4倍くらいは必要ですね。
大学1年の頃から、どの講義を選択するかなどについても相談できるアドバイザーも大切でしょう。
また、良い教員・研究者をリクルートするためには、教授会の民主主義に任せていては難しいかもしれません。

それにしても、日本の大学における「専門教育前倒し」はいつから始まったのでしたかね?
これに加えての「理系文系」を高校時代から分けることも、学問の幅を狭くし、学際的研究人材やイノベーション人材を育てるにはほど遠い高等教育体系になってしまったことは、ポスドク問題よりもさらに根が深いと思います。
「数学が苦手だから文系」「英語が嫌いだから理系」って、高校2年までに進路を決めて、それで良い訳ないでしょう???
「専門前倒し」も「理系文系」も、効率を追求する(but必ずしも合理的ではない)日本人のメンタリティーの表れなので、改革は容易ではない気がします。
……とはいえ、このままでいいのか? どうするニッポン!?
by osumi1128 | 2009-04-23 04:42 | 旅の思い出

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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