ロードスター
2005年 06月 17日
仙台に異動することが決まったとき、初めて車を買おうと思った。
地方都市なのでセミナーにお呼びする方を空港などへお迎えすることが必要だろうと考えたからだ。
東京にしろ、ロンドンにしろ、パリにしろ、ニューヨークにしろ、大都会といわれる地域ではいちいち空港まで迎えに行くのはえらくたいへんなのでそういう習慣はないが、その他の都市では必ずお迎えに来て下さる。
方向音痴の私としては現地でアテンドして下さるととても有り難いので、自分も相手にはそうしたいと思う。
で、さあどの車にしようかと考えたときに、真っ先に頭に浮かんだのが、当時ちょうど発売されたばかりのマツダのロードスターの2代目のもの。
しかもカタログカラー(当時)である「エボリューションオレンジ」、これしかないと思った。
(どこが「革命」なんだか「進化」なんだかわかりませんが、メタリックでオレンジ色を茶色よりに渋くしたような色です。)
車が私を呼んでいる、そんな感じである。
この車はアメリカは「ミアータ」という名前で売られていて、イメージとしては「秘書さんが通勤に使う車」なんだそうな。
この「ミアータ」という言葉の響きが好きだ。
さて、そのころ東大にいた、現熊本大のSさんが「大隅さん、仙台に行ったら車、必要でしょ。」と言うので、「うん、もちろん決めたよ。」
「何にしました?」(彼はかなり車にウルサイほう)
「ロードスター」
「マツダの?」
「そう。何かいけない?」
「だって、屋根が幌でしょ?」
「うん、そうだけど(ニコニコマーク)」
「仙台、雪、降りません?」
「・・・!!!(焦っている顔マーク)」
「屋根に雪が積もると、車、つぶれますよ」
車はもう決めてしまっていたので、仙台で住むところを探す際の第一条件が「地下駐車場のあるところ」になった。
幸いそういうアパートが見つかったので良かったが、引っ越してみると仙台市内ではそこまで雪が降る訳ではないことが判明。
やれやれ・・・
仙台の市街地、とくに駅の西側は第二次世界大戦の際に空襲を受けているので、戦後整備されたために道路が広い。
また駐車場の区画も(東京より)広いので有り難い。
縦列駐車をする必要はほとんどない(私にとっての例外は、東北大教養部のキャンパスの来訪者駐車場。ここは仙台基準を満たしていない)。
素晴らしく快適なカーライフ!
…だが一つだけ問題があった。
それは、ロードスターは2人乗りであるということだ。
当初の目的であった「空港へのお迎え」は、客人が一人のときのみ可能であり、ご夫婦等でいらっしゃる際には別の手段を考えなければならない。
(例えば、学生の車を調達するなど。軽でも4人乗れるなんて素晴らしい!)
うちの両親もセットで来るとなると(学生をかり出す訳にはいかないので)タクシーが必要。
「そんなこと、最初から分かるでしょうに・・・」というツッコミの声が聞こえそうだが、とにかく「クルマに惚れた」のだ。
…といっても私はクルマには冷たい。
うちのラボで同様に2人乗りの車に乗っている車好きのスタッフがいて、ときどき大学の駐車場で野ざらしになっているのを見て「駄目ですよ、ちゃんと磨いてあげなきゃ・・・」と言われる。
「うーーーん、そういうの、苦手なんだよねー」
「じゃあ、ガソリンスタンドに連れて行けばやってくれますよ」
「うん、たまにね・・・」
「タイヤもスプレーをかけるとピカピカになりますよ」
「そうね・・・」
ミアータは好きだが、走り屋ではないし、車を改造するなんてこともない。
(でも、車線の先頭が空いていると、ついそちらに移動する傾向有り。)
スポーティーなスタイルなので、いわゆる「スポーツ車」だと勘違いされる方が多いが、この車は「イギリスの田園を60 kmくらいでゆったりと流す」のが似合う。
(仙台郊外を走ると、ちょっとそんな気分を味わえる。・・・ホント?)
一人で目的もなくドライブすることもありえない。
方向音痴なので、ナビゲーションシステムが付いていても「知らないところへ行く」というストレスをかけたくないのだ。
(小さいとき、お散歩に行くというと必ず一定の道しか通りたくないと主張したらしい。三つ子の魂が現在まで生きている。)
普段、自宅とラボの行き来にしか使っていないので、片道10-15分だと手間なので(手動)幌を開けることもない(しかもUV浴びるし・・・)。
「それで、何が楽しいの?」と言われそうだが、スミマセン、これでも十分楽しいんです・・・勘弁して下さい。